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帝王切開後の産後後遺症と運動器の悩み―身体の専門家として今こそ知るべきアプローチの視点

はじめに

「産後に腰が痛くて困っている」「お腹の力が入らない」「傷跡周辺に違和感がある」――産後女性のこうした訴えを臨床で耳にする機会は、今後ますます増えていく可能性がある。その背景には、帝王切開による出産が急増しているという現実がある。

厚生労働省「令和5年医療施設調査・病院報告の概況」によれば、令和5年(2023年)に病院で出産した人の**29.1%**が帝王切開による分娩を経験している。一般病院の3人に1人近くが、開腹手術を経て出産しているという現実は、産後ケアの需要構造を大きく変えつつある。柔道整復師、鍼灸師、理学療法士、スポーツトレーナー、セラピストとして、この変化に目を向けておくことは今後の臨床実践において極めて重要である。


帝王切開の現状―過去30年で約2倍に増加

増加し続ける帝王切開率

日本周産期・新生児医学会雑誌の報告によれば、帝王切開率は過去30年で約2倍に増加した。1990年代初頭に約10%だった帝王切開率は、2020年には22.4%(約5人に1人)、2023年には病院分娩で29.1%に達している。

帝王切開が増加している主な背景

要因具体的な内容
晩婚化・高齢出産の増加35歳以上の初産が増加し、リスクが高い妊娠が増えた
医療技術の進歩帝王切開の安全性が向上し、適応が拡大した
既往帝王切開一度帝王切開を経験すると次回も同様になるケースが多い
多胎妊娠・逆子不妊治療の普及により多胎妊娠が増加

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この傾向は今後も続くと予測されており、帝王切開後の産後ケアを必要とする女性の数は増加の一途をたどると考えられる。


帝王切開後に起こる運動器の産後悩み

帝王切開特有の身体への影響

帝王切開は開腹手術であり、経腟分娩とは異なる身体的影響が生じる。日本麻酔科学会誌(J-STAGE掲載)の知見も踏まえると、帝王切開術後には以下のような身体変化が起こる:

  • 腹部の筋肉・筋膜の損傷:皮膚〜子宮に至るまで複数の組織を切開するため、腹直筋・腹横筋・筋膜に大きなダメージが加わる
  • 癒着形成:術後の組織修復過程で、皮膚・筋膜・腹膜間に癒着が生じやすい
  • 体幹機能の低下:腹部の切開と長期安静により、コアスタビライザーとしての体幹筋機能が著しく低下する

腹直筋離開の高い有訴率

理学療法関連のJ-STAGE掲載研究によれば、腹直筋離開は**妊娠35週で100%の妊婦に認められ、産後6か月時点でも35〜39%**が有するとされている。腹直筋離開は白線の機能障害を伴い、体幹の機能不全やそれに関連する様々な身体症状の原因となりうる。

特に帝王切開後の女性では、腹部の切開による回復遅延が重なることで、腹直筋離開の改善が経腟分娩後と比較して遅れる傾向があることが指摘されている。

産後女性に多い運動器の悩み

産後女性が抱える主な運動器の産後悩みとして、以下が挙げられる:

  • 腰痛・骨盤痛:妊娠中のホルモン(リラキシン)による靭帯弛緩と骨盤底筋の機能低下
  • 骨盤底筋機能障害:尿漏れ・腹圧性尿失禁、骨盤臓器脱のリスク上昇
  • 傷跡周辺の違和感:帝王切開の術創の癒着による引きつれ感・感覚異常・深部痛
  • 姿勢不良・慢性疼痛:育児姿勢(授乳・抱っこ)の固定化による頸肩部・背部の緊張
  • 下腹部のぽっこり感:体幹筋機能の低下と腹直筋離開による外見的変化

これらの悩みは「産後だから仕方ない」と放置されやすいが、適切なケアなしには慢性化するリスクが高い。


産後ケアの需要と社会的背景

産後ケア需要の高まり

こども家庭庁「産後ケア事業」では、産後の心身のケアや育児サポートを担う産後ケア事業が自治体で広がっており、医療・保健・福祉の連携が求められている。こうした社会インフラの整備とともに、身体専門職として産後ケアに携われる医療従事者への期待は高まっている。

産後リハビリの重要性

日本リハビリテーション医学会誌(Vol.60 No.7, 2023)でも産褥期のリハビリテーション医療が特集され、産後の女性支援に多職種連携が必要であると明記されている。理学療法士はもちろん、柔道整復師や鍼灸師、セラピストも、身体ケアを通じて産後女性を支える重要な担い手として位置づけられつつある。


おわりに:産後ケアの新たな担い手として

帝王切開率が病院分娩で29.1%に達し、過去30年で約2倍に増加したという事実は、産後に身体的なサポートを必要とする女性が確実に増えていることを示している。そして、腰痛・骨盤底筋機能障害・腹直筋離開・傷跡癒着といった運動器の産後悩みは、私たち身体の専門家が介入できる課題そのものである。

産後後遺症は「産後だから」「時間が経てば治る」と見過ごされがちだが、適切な評価と介入によって改善できるケースは多い。帝王切開後の身体変化を正しく理解し、具体的なエクササイズアプローチを身につけることが、今後の臨床において大きな強みとなる。

ミラウェルでは、産後の後遺症に対する具体的なエクササイズアプローチを学べるセミナーを開催する。 帝王切開後の傷跡ケア、腹直筋離開への運動療法、骨盤底筋機能の回復など、現場で即活用できる実践的な内容となっている。産後ケアに関わりたいすべての医療従事者に、ぜひ活用してほしい。

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参考情報


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著者:ミラウェルの中の人
mirawell メディアディレクター

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ミラウェルのメディアディレクター
これまで、約130を超えるセミナーコンテンツの
プロデュース/制作/集客/ディレクションを担当。

<保有資格>
・柔道整復師
・NSCA-CPT
・JADP認定スポーツメンタルトレーナー
・認定フェムテックエキスパート (日本フェムテック協会認定資格2級)

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