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性差と筋肥大:男女で筋肉の増え方は違うのか

はじめに

本研究はMartin C. Refaloらの研究グループによって実施され、2025年に『PeerJ』誌に掲載された。レジスタンストレーニング(RT)による筋肥大の反応が男女で異なるのか、既存の29件の研究データを統合したベイズ流メタ解析によって検証している。これまでの先行研究では性差の有無について一貫した結論が得られておらず、また筋線維タイプ別の分析はほとんど行われていなかった。

ポイント

解析の結果、絶対値としての筋肥大量はわずかに男性側が優位であることが示された(標準化平均差SMD=0.19、95%確信区間0.11〜0.28、方向性の確率pd=100%)。一方、トレーニング前の筋量に対する相対的な増加率で見ると、男女差はほとんど確認されなかった(対数反応比の指数変換値=0.69%、95%確信区間-1.50〜2.88%)。上半身の絶対的な筋肥大は男性が優位だったが、下半身では性差が認められなかった。筋線維タイプ別では、タイプI線維の肥大はわずかに男性が優位だったが、タイプII線維は男女でほぼ同等だった。

内容の中でのトピック①:解析対象となったデータの特徴

このメタ解析は2,720件の文献をスクリーニングし、最終的に29件の研究を統合解析の対象とした。対象は18〜45歳の健常な成人で、同一のRTプログラムを男女ともに実施した研究に限定されている。統合されたデータポイント数は男性1,278件、女性1,537件で、平均年齢は男女ともに26±4歳だった。分析には標準化平均差(SMD)、対数反応比(lnRR、指数変換した%変化として表示)、そして効果の方向性を示す確率(pd)というベイズ統計の指標が用いられている。またRT経験の有無や、筋量の評価方法・評価部位による影響も副次的に検討されている。

内容の中でのトピック②:現場への示唆

アスレチックトレーナーやパーソナルトレーナーが現場でRTプログラムを設計する際、今回の結果は重要な参考情報となる。絶対量では男性の方がやや大きく筋肥大する一方、ベースラインに対する相対的な伸び率では男女差がほとんど見られなかった。これは、女性クライアントも男性クライアントと同等の筋肥大ポテンシャルを持つことを示す結果と言える。また、上半身では男性優位の傾向があったが、下半身では性差が確認されなかった点も、部位別のプログラム設計において押さえておきたい情報である。RT経験の有無は結果に影響を与えなかったことから、初心者・経験者を問わず男女の筋肥大反応の傾向は概ね一致すると考えられる。
ただし著者らは、高度に鍛えられたアスリートや筋線維タイプ別の反応については、さらなる研究が必要だと述べている。男女混合のグループを指導する場面では、絶対的な筋量変化の期待値に性差があり得る点を踏まえつつも、相対的な伸びしろという観点では男女平等に目標設定できる根拠として活用できる。

参考文献・引用元
Refalo MC, Nuckols G, Galpin AJ, Gallagher IJ, Hamilton DL, Fyfe JJ. (2025). Sex differences in absolute and relative changes in muscle size following resistance training in healthy adults: a systematic review with Bayesian meta-analysis. PeerJ, 13:e19042.
DOI:https://doi.org/10.7717/peerj.19042
PDF:https://peerj.com/articles/19042.pdf
PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40028215/