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クレアチン摂取は脳の健康にも有益か——最新レビュー論文を読み解く

はじめに

クレアチンは筋力や除脂肪量の向上など、運動パフォーマンスへの効果がよく知られている。一方、近年では脳のエネルギー代謝や認知機能への影響も注目されている。本稿では、Roschelらによる2021年のレビュー論文「Creatine Supplementation and Brain Health」をもとに、クレアチン摂取が脳内クレアチン濃度、認知機能、軽度外傷性脳損傷(mTBI)に与える影響を整理する。

ポイント

脳はクレアチンを自ら合成できるため、食事由来のクレアチンだけに依存していない。実際、菜食主義者と肉食者で脳内クレアチン濃度に大きな差がないとの報告もある。一方、クレアチン摂取による脳内濃度の上昇は筋肉より小さく、既存研究では平均5〜10%程度にとどまっている。また、認知機能への効果は通常時よりも、睡眠不足や低酸素など脳へのストレスがかかる状況で現れやすい傾向がある。

内容の中でのトピック①

脳内クレアチン濃度への影響とその限界

脳にはクレアチン合成に関わるAGATやGAMTなどの酵素が存在し、アストロサイトやニューロンにはクレアチントランスポーター(CreaT)が発現している。そのため、脳はクレアチンを自ら供給できる。しかし、摂取による脳内クレアチンの増加は筋肉ほど大きくない。研究では1日20gを4週間摂取することで脳内クレアチン量の増加が確認された例もあるが、一般的な3〜5g/日の摂取で同様の効果が得られるかは明確ではない。脳へのクレアチン供給には血液脳関門などが関係していると考えられ、今後さらなる研究が必要である。

内容の中でのトピック②

認知機能・外傷性脳損傷への効果

認知機能については、健常者を対象とした研究では結果が一致していない。一方、24〜36時間の断眠や低酸素環境など、脳への負荷が高い状況では、反応時間やStroop課題などの認知機能低下を抑制する可能性が示されている。また、mTBI後には脳内クレアチンが減少することが報告されており、クレアチン摂取による回復への効果も研究されている。ただし、動物実験では有望な結果が得られているものの、ヒトでのエビデンスはまだ限定的であり、治療目的での使用を推奨できる段階ではない。

引用元
Roschel, H.; Gualano, B.; Ostojic, S.M.; Rawson, E.S. Creatine Supplementation and Brain Health. Nutrients 2021, 13, 586.

https://doi.org/10.3390/nu13020586