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サッカー選手における試合後2日目のトレーニング介入と回復反応の違い

はじめに

サッカーでは中3日以内で連戦が続く過密日程がしばしば発生し、選手は十分に回復しないまま次の試合を迎えるケースが多い。試合後の筋損傷や炎症反応は72時間程度残存することが知られているが、試合48時間後(マッチデー+2)に「サッカー特異的トレーニング(SST)」と「アクティブリカバリー(AR)」のどちらを実施すべきかについては、これまで明確なエビデンスが存在しなかった。本研究は、この2種類のトレーニング介入が、その後の知覚的・生化学的な回復パターンにどう影響するかをクロスオーバーデザインで検証したイタリアの研究である。

ポイント

対象は17.7±0.55歳のサブエリート男子選手9名。試合の72時間前、直後、72時間後に採血と主観的評価を実施し、試合48時間後にSST(約60分、ウォームアップ・スモールサイドゲーム・戦術ドリル)またはAR(約30分、低強度技術ドリル・動的ストレッチ・軽いジョギング)のいずれかを行う設計とした。結果として、筋肉痛(VASスコア)はARの方がSSTより有意に高い回復を示し(P=0.004、η²p=0.49)、筋損傷マーカーであるクレアチンキナーゼ(CK)もARの方が72時間後の回復度が優れていた(P=0.04、η²p=0.36)。一方、炎症マーカー(CRP、IL-6)、免疫系マーカー(白血球、リンパ球など)、内分泌マーカー(コルチゾール)については、SSTとARの間に有意な差は認められなかった(いずれもP>0.05)。

筋肉痛とCKの回復パターン

VASによる筋肉痛評価では、ベースライン時点でSST群1.94±0.91、AR群1.88±0.48だったが、試合直後にはSST群5.22±0.83、AR群5.00±0.82まで上昇。72時間後、SST群は3.61±0.61にとどまったのに対し、AR群は1.83±0.96とほぼベースラインまで回復した。CKについても同様の傾向で、試合直後にSST群570±232 U/L、AR群680±343 U/Lまで上昇した後、72時間後にはSST群283.87±98.33 U/Lに対し、AR群は209±98.16 U/Lへと有意に回復した(ES=1.9)。これは、SSTに含まれるスプリントや切り返しなどの高強度な伸張性・短縮性の筋活動が、下肢後面筋を中心とした筋損傷の回復を遅らせる可能性を示唆している。実際、SSTの走行距離・加減速負荷はARの4倍以上であったこと(Table 1参照)も、この差を裏付けるデータといえる。

炎症・免疫・内分泌反応への影響の乏しさ

一方で、CRPやIL-6といった炎症マーカー、白血球数や好中球・単球などの免疫系マーカー、コルチゾールなどの内分泌マーカーについては、SSTとARの間に統計的な有意差は見られなかった。これらのマーカーはいずれも試合直後(0h)に有意な上昇を示した後、72時間後には試合前の水準へと回復する共通パターンを示している。この結果は、試合後2日目に短時間・低頻度の高強度運動を挟んでも、炎症・免疫系の回復過程そのものを大きく妨げるわけではないことを意味する。つまり、SSTを選択したとしても全身性の炎症・免疫反応には大きな悪影響を与えないが、局所的な筋損傷と自覚的な筋肉痛の回復にはARの方が有利に働くという、パラメータごとの反応の違いが明らかになった点が本研究の重要な知見である。


参考論文 Trecroci A, Perri E, Lombardi G, Banfi G, Del Vescovo RD, Rosa EM, Alberti G, Iaia FM (2021). Perceptual and Biochemical Responses in Relation to Different Match-Day +2 Training Interventions in Soccer Players. Frontiers in Physiology, 12:685804. doi: 10.3389/fphys.2021.685804