ポイント
近年の臨床研究では、筋力や運動パフォーマンスは午後から夕方にかけて高まりやすく、この時間帯のトレーニングは菌肥大や筋力向上により効果的である可能性が示され、この背景に時計遺伝子と呼ばれる分子機構が関与していることが明らかになっている。
時計遺伝子は、筋細胞の成長や修復、ミトコンドリア機能、エネルギー産生を調節しており、筋肉の発達には「どの時間帯に刺激を与えるか」が重要であることが示唆されており、そこに加え、栄養素の種類だけでなく「いつ摂取するか」が代謝や筋肉の適応に影響があり、特に運動直後のタンパク質摂取は、筋タンパク質合成に関わるシグナルを活性化し、筋肥大や筋修復、さらにはミトコンドリア合成を促進することが報告されている。
また、運動後に炭水化物を摂取するとインスリン分泌が高まり、筋細胞へのグルコース取り込みや筋グリコーゲンの回復が促進されるため、疲労回復や次回の運動パフォーマンス向上にも役立つとされている。
はじめに
骨格筋は血管や神経に富み、エネルギー代謝や全身の代謝調節にも重要な役割をはしているが、加齢、慢性疾患、代謝異常、長期の不活動などによって筋肉量や筋機能が低下すると筋萎縮が生じ、また、過度な機械的ストレスによる筋損傷では、筋繊維の構造破壊や炎症、痛み、機能障害が引き起こされ、重度なものだとその後の不活動や回復障害によって筋萎縮が進行することもある一方で、筋肉には高い再生能力があり適切な栄養や運動によって修復・再生が促進される事も強調されている。
運動や栄養摂取を概日リズムに合わせて最適化することが、筋萎縮の予防や筋再生の促進、筋機能の維持に役立つ可能性があり、筋肉の健康は運動量や栄養摂取量だけでなく、「時間」という要素を含めて考えることが重要であると示唆している。
この論文は2025年3月6日にNUTRITION REVIEWSに掲載された。
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