ポイント
・夕方に体重1㎏あたり2mgを超えるカフェインを摂取するとアスリートの睡眠時間と睡眠効率が低下し、入眠までの時間や夜間の覚醒回数が増加することが示された。
・夜間に高GIの炭水化物やトリプトファンを多く含むタンパク質を摂取することで、アスリートの入眠までの時間が短縮される可能性がある。
・本研究では、ランダム化比較試験(RCT)のみに絞って系統的レビューを実施。SAQの身体的効果について科学的根拠を定量化した。
はじめに
睡眠は生理的及び心理的健康にとって不可欠であり、成人には最適な健康と機能のために毎晩7~9時間の睡眠が推奨されており、さらにアスリートでは、トレーニングや競技といったストレス要因からの適切な回復のため、非アスリートと比較してさらに質の高い睡眠が必要となる場合がある。
しかしアスリートは睡眠不足を訴えることが多く、エリートアスリートでも毎晩7時間未満の睡眠しかとれていないケースが頻繁に見られる。アスリートにとって睡眠不足は回復とパフォーマンスの多様な側面に悪影響を及ぼし、病気やけがのリスクを高める可能性がある。
アスリートの睡眠を改善するための戦略として、睡眠衛生の改善があげられるが、アスリートは集中的なトレーニングや競技スケジュール、タイムゾーンをまたぐ移動、競技前の不安など睡眠を妨げる多くの要因に直面しており、さらにドーピング規制により効果的な睡眠補助剤の使用が制限される場合もある。
近年食事と睡眠の質および持続時間の関連性が示されており、栄養がスポーツパフォーマンスと回復において重要な役割を果たすことが強調されている。食事のタイミング、主要栄養素の構成、補助食品などが睡眠改善に関連するとされているが、アスリートと非アスリートでは栄養摂取が睡眠に与える影響が異なる可能性も示唆されている。
この論文は2022年8月10日にnutrientsに掲載された。
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