独立開業権を有する柔道整復師は、近年増加の一途を辿っている。20年の最新のデータ(1)によると、就業柔道整復師数は75,000人を超え、10年前と比較して1.5倍に推移している。
その業界変容に伴い、同国家資格の取得を目指す学生の心理的変遷も複雑さを帯びてきている。とある学校法人のキャリア担当者の話によると、「10年後にこの業界で仕事を続けている卒業生の割合は、肌感覚でいうと4割くらい」、「昔は10人いれば10年後には5人は開業していた印象」だという。
この”肌感覚”は、確かな過去データや比較対象データはなく、現状の分析を図ることは難しいが、学生対応に日々奔走している担当者の声は、「現場の声」であり、その心理変容の解像度は上げたいところである。
「接骨院(整骨院)」に主に従事している柔道整復師は、地域医療の受け皿としても大きく貢献しており、今日も医療の一端を担い手として必要不可欠な存在である。その既成事実もある最中、学生は「開業」や「業界継承」に対して、どのように考えているのか。我々は柔道整復師学科を有する大学の在学生47名に対して、独自の調査を行った。
問いは主に2つである。
①将来的に独立開業は考えているのか?
②「考えていない」と答えたのはなぜか?
結果と回答は以下となった。
①最も多かった回答は、「開業を考えていない」(36.2%)に。
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